このページは、病気の事・予防医学など、動物達に関する事について、
飼い主の皆様にぜひとも覚えておいていただきたい「大切なおはなし」を、いつでもご覧いただけるようにアーカイブ形式にしています。

「あれはどういうことだったかな?」「あの病気ってどういう症状だったかな?」
「フィラリアっていつからお薬を始めるのかな?」「こういう時、どうしたらよいの?」
など、疑問に思った時にいつでもここを開いてご覧ください。

犬の外耳炎について

外耳炎は命にかかわる病気ではありません。しかし、治療しないと治らないばかりではなく、『耳の穴を取ってしまう』大手術をしなくてはならない場合もあります。
また、脳のすぐ隣の炎症であるため、外耳炎が慢性化すると炎症が中耳や内耳(中耳炎、内耳炎と言います。)、ひいては脳へ波及する可能性もあります。

【症状】 耳を床や壁に擦りつける。耳や首を後ろ足で引っ掻く。首をブルブル振る。耳の中が真っ赤に腫れあがり、臭いのする耳垢が溜まっている。頭を斜めに傾けたままにしている。などの症状が現れます。
(写真1)(写真2)

【原因】 原因はいろいろありますが、細菌や真菌の繁殖、あるいは耳ヒゼンダニの寄生が多くみられます。
元来、耳の中や皮膚の上には(耳の中の壁も皮膚の一種です)、目に見えませんが少数の『細菌』が住んでいます。健康な皮膚(耳)は、バリア機能や免疫機能が正常に作動して細菌が異常に増えないように調整しています。
しかし、何かのきっかけでそのバランスが崩れると細菌の異常繁殖がおこり、炎症が起こります。そして、耳の中が赤く腫れて痛みや痒みが生じます。これが外耳炎です。
『何かのきっかけ』は、主には高温多湿ですので、急に暖かくなる初夏や真冬の暖房で外耳炎が増えることとなります。また、外耳炎は、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎(あぶら症)など全身性の皮膚病に併発して起こることもあります。
その他、耳の中の腫瘍や異物などによって耳穴が狭められて起こることもあります。耳ヒゼンダニの寄生は、耳ヒゼンダニを持っている犬や猫と密に接触した場合に感染が起こり得ます。

【治療】 外耳炎の治療には耳の洗浄が効果的ですが、同時にその原因を取り除くことが大切です。細菌や真菌の繁殖が原因の場合、抗生物質や抗真菌剤を用います。
耳ヒゼンダニの寄生が原因の場合、その駆除薬を投与します。お薬は耳に直接入れるものと飲み薬があり、状況によって使い分けます。
また、アトピー性皮膚炎などの全身性の皮膚病が原因の場合、その治療を行います。
外耳炎は慢性化、再発しやすい病気なので根気よく治療を続けることが大切です。治ったと思っても、定期的な耳のお手入れをすることをお勧めします。
一方、何度も再発をして慢性化してしまった外耳炎の治療は、非常に厄介です。耳の中の壁(耳道と言います。)が度重なる炎症によって厚くなってしまい(写真3)(写真4)、鼓膜の前を完全に塞いでしまうこともあります。

こうなると音も聞こえにくくなり、耳道から出た耳垢や膿は、出口が無いのでそのまま蓄積され、最終的には耳の近くの皮膚を突き破って出てくることもあります。
あるいは、炎症が耳の奥に進行して中耳炎、内耳炎を併発する場合もあります。また、耳道が慢性炎症によって厚くなってしまうと、本来のバリア機能や免疫機能が失われてしまい、生涯、元には戻らなくなってしまいます。
従って、細菌が異常繁殖しやすく、炎症が治りにくい(治らない)耳となります。ここまで酷くなってしまうと、通常の治療では効果がほとんどありません。
痛みや炎症を緩和するために、耳道の組織を丸ごと取り除く手術が必要になることもあります。

【予防】 日頃から時々、耳の中をチェックしましょう。耳垢がたまっていないか、赤くなっていないか、臭いの異常は無いか、確認しましょう。耳の中を洗浄するのも効果的です。
ただし綿棒を使っての耳掃除は、耳の中の皮膚を傷つけたり、耳垢をさらに奥に押し込んでしまう場合もあるので十分気をつけましょう。
外耳炎を疑う症状がある場合は、早めに動物病院を受診することをお勧めします。

文責:田辺獣医科病院


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