このページは、病気の事・予防医学など、動物達に関する事について、
飼い主の皆様にぜひとも覚えておいていただきたい「大切なおはなし」を、いつでもご覧いただけるようにアーカイブ形式にしています。

「あれはどういうことだったかな?」「あの病気ってどういう症状だったかな?」
「フィラリアっていつからお薬を始めるのかな?」「こういう時、どうしたらよいの?」
など、疑問に思った時にいつでもここを開いてご覧ください。

犬猫の糖尿病について

【糖尿病とは】

糖尿病は人の生活習慣病として有名ですが、犬や猫でも同じ病気がみられます。
糖尿病とはどういう病気なのでしょうか?
糖尿病は、単に尿に糖が出てしまう病気ではありません。
血液中には大量の糖があるにもかかわらず、それを各臓器の細胞内に取り込めない病態が糖尿病です。
糖は、細胞内に取り込まれて細胞が仕事をするときのエネルギーとなります。
従って、糖尿病になると臓器の細胞自体は『飢餓状態』になります。


【症状】

●水を飲む量が異常に増える
●尿の量が増えたり臭いが変わる
●食欲旺盛なのに体重が減る
などの症状が現れます。

水を飲む量がどのくらいになったら病気なのか?
これは数字ではっきり決められるものではないので、難しい質問です。
一日に体重1kgあたり100ml以上、たとえば体重5kgのミニチュアダックスフンドであれば、1日に500ml以上水を飲む場合は、明らかに病的だと思います(参考文献:Small Animal Internal Medicine 第3版 第41章)。
しかし、気温が高い日やよく運動した後は、病気でなくても水を大量に飲むでしょう。
ドライフードを食べる場合、缶詰めを食べるよりも水を飲む量は増えます。
従って、水を飲む量が増えてきた場合、それが病気なのか正常範囲なのかは血液検査や日頃の生活パターンからの総合判断となります。
糖尿病の初期症状は、単に水を大量に飲み尿を大量にするだけです。
しかし、高血糖状態が続くと、先に述べた理由から全身の臓器が飢餓状態となるため、次第に臓器機能に障害が出てきます。


【原因】

犬猫が糖尿病を発症する場合、その背景に『何かがある』ことが多いです。
具体的には、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、感染症、腫瘍、肥満、慢性膵炎などです。
避妊していない雌犬では、卵巣から出るホルモンによってインスリンの効きが悪くなり糖尿病に発展することがあります。
また、猫では様々なストレスも、原因となりえます。
従って、『糖尿病』と診断されたら、血液検査以外に尿検査、X線検査、超音波検査など全身をくまなく検査します。


【治療】

治療法は、人間の場合と少し異なります。
不足しているインスリンを注射で打つインスリン『補充療法』と、血糖値を上げないように、糖質に限らず脂質やタンパク質がスムーズに代謝できるようにする『食事療法』が中心となります。
補充療法では、毎日1〜2回、飼い主が犬猫にインスリン注射を打ってもらうことになります。
基本的には糖尿病と診断された以降は、この注射を一生続けなければなりません。
そうなると、飼い主の負担は、経済的にも大きいですね。
病院に連れてこられた時点で、何日間か食欲が低下している場合は、『糖尿病をこじらせている』ことが多く、入院させて集中的な治療を行う場合もあります。
また、背景にある病気も治療することが大切になります。
注射は一生…と述べましたが、猫では、『背景にある病気』が治ることで糖尿病も治ってしまうことがあります。
ブログ『猫の糖尿病は治る病気?』についてご紹介いたします。

文責:田辺獣医科病院


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