このページは、病気の事・予防医学など、動物達に関する事について、
飼い主の皆様にぜひとも覚えておいていただきたい「大切なおはなし」を、いつでもご覧いただけるようにアーカイブ形式にしています。

「あれはどういうことだったかな?」「あの病気ってどういう症状だったかな?」
「フィラリアっていつからお薬を始めるのかな?」「こういう時、どうしたらよいの?」
など、疑問に思った時にいつでもここを開いてご覧ください。

犬猫の歯周病について

【歯周病とは】
歯周病には、おもに歯肉炎と歯周炎のふたつがあります。
歯周病の初期が歯肉炎で、進行すると歯周炎と呼ばれる病態となります。
つまり、こういうことです。


歯肉炎は、歯肉のみの炎症を指します。この段階では、炎症は歯と歯肉の間のごく小さい部分に限られた炎症です。
歯垢を除去すれば、歯肉は健康な状態に戻すことが可能です。
しかし、歯周炎は歯肉以外の歯周組織(歯周組織=歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)にまで炎症が波及し、組織の破壊〜消失が起こっている状態です。
歯槽骨が溶けて消失すると歯肉は後退して、歯が伸びたようにみえます。
この段階に来ると、治療しても歯周組織を元の状態に戻すことは不可能となります。


【原因】
なぜ、歯周病になってしまうのでしょうか?
口の中には、数百種類の微生物が住んでいると言われています。これらの微生物は、宿主(犬猫)にとって、良いことをする場合もありありますし、悪いこともする場合もありますね。
歯周病に関係している微生物は細菌の何種類かで、これらは『歯周病関連細菌』と呼ばれています。
歯と歯茎の境目(歯肉溝)は、歯垢が溜まりやすいところです。
歯垢1gの中には微生物が2,500億個含まれると言われています。
歯肉溝に住み着いた歯周病関連細菌は、様々な毒素を産生し、歯周組織に激しい炎症を引き起こしてしまいます。


【症状】
歯と歯茎の間には深い溝(歯周ポケット)が出来てきます。
歯周ポケットの中は微生物の住みかとなり、膿が溜まり、さらに食べ物のカスや被毛、草などが溜まっていきますので、強烈な口臭が出てきます。
歯肉が腫れて赤くなり、刺激で出血する事もあります。歯を支えている組織が破壊されるため、歯肉は後退し、歯がぐらぐらして最終的には、歯は抜け落ちてしまいます。
歯垢は、取り除かなければ石のように硬く(歯石)なって歯の表面に強固に付着します。
歯周病にかかっている犬猫は、口の中に違和感をおぼえて食事をボロボロ落としてしまったり、食べたいのに痛くて食べられなくなったり、食事中に突然、奇声をあげたり、口を触られるのを嫌がったりもします。
ときには、頬や下顎が腫れてやがて破れ、膿が出てくることもあります。
(この場合は、歯の根の部分(根尖)の細菌感染が原因です。歯周病が進行して根尖が感染することもありますし、違うことが原因で感染する場合もあります。)



【治療】
進行していない歯周病の治療は、歯垢・歯石の除去です。
一方、歯周病が進行してしまうと歯周組織が溶けて無くなりますが、これを再生させるのは至難の業です。
歯周組織が無くなり、歯がぐらぐらしている場合の治療は、残念ながらその歯を抜くことです。
ぐらぐらしている歯の周囲組織は、見たところ残っていても細菌感染が激しく、腐って壊死している組織ばかりです。
従って、歯を抜いた後は周囲の壊死組織もはがします。これらの処置は、犬猫では必ず『全身麻酔』をかけた状態で処置します。

【予防】
歯周病予防は、歯垢をためないこと、すなわち歯磨きを行うことです。
私達のように歯ブラシを使わなくても構いません。濡らしたガーゼやタオルを指に巻き、歯の表面をやさしく磨いてあげてください。
犬猫とのコミュニケーションも取れます!ぜひ、行ってみてください。


【歯周病と全身性疾患との関係】
近年、歯周ポケットの細菌によって、歯周病以外の様々な疾患が発生する事が明らかになってきています。
ヒトでは歯周病によって、呼吸器系疾患(肺炎)、心血管系疾患(心筋梗塞・動脈硬化症)、腎機能障害、糖尿病、早産などが引き起こされる場合があります。
重症の歯周病になると、歯周ポケット内の細菌が多くなり、血液や呼吸器内に細菌そのものや毒素が流れ込むことが原因と考えられています。


※ブログにも、歯周病の症例をご紹介いたしましたので、ご覧になってください。

ブログ『ダックスの口臭と歯周病』

文責:田辺獣医科病院


▲ページトップに戻る